元教授、本格捜査へ 京大「預け金」流用疑い 東京地検特捜部
産経新聞 2012年7月25日(水)7時55分配信
京都大大学院薬学研究科の男性元教授(59)が物品を架空発注し、研究費の一部を医療機器販売会社(東京都世田谷区)に管理させる「預け金」と呼ばれる不正経理をしていた疑惑で、東京地検特捜部が業務上横領などの容疑で、近く元教授の本格捜査に乗り出す方針を固めたことが24日、関係者の話で分かった。特捜部は既に元教授や同社関係者から複数回にわたり事情を聴いており、不正経理の全容解明を目指すもようだ。
関係者によると、元教授は研究費で医療機器を購入したように偽装し、同社から偽の領収書を受け取るなどして提出。代金をこの販売会社に管理させ、一部を私的に流用していた疑いが持たれている。
元教授と同社は10年以上前から取引などを通じて付き合いがあったとされる。また関係者によると、元教授は昨秋まで複数回、私的な海外旅行に出かけたが、航空券代など数百万円分を同社が負担していたほか、高級クラブなどでの接待を繰り返し受けていたという。
特捜部は昨年12月ごろから同社の資金の流れについて捜査を始め、今年5月に京大など関係先を家宅捜索。同社に預けた裏金が、元教授の旅費や遊興費の原資になった可能性が高いと判断しているもようだ。
元教授は治療が困難な病気に対して、遺伝子情報を参考にして薬をつくる「ゲノム創薬科学」の専門家とされ、京大の「最先端創薬研究センター」のセンター長を務めていた。
同社は平成23年度までの過去8年間で、元教授側から全遺伝情報解析装置など約5億円分の発注を受けたが、昨年10月に民事再生法の適用を申請して倒産。同社に対しては日本大学など4大学1機関も債権を保有していたことが判明しており、京大以外にも不正な経理処理があった疑いが浮上している。
【用語解説】預け金
物品の架空発注で捻出した資金を取引先の業者に管理させる不正経理。裏金作りの典型的な手法とされ、文部科学省は禁止するガイドラインを作成して大学などに通知している。今年1月にはが業者と共謀し、消耗品の発注を偽装する手口で大学から約2400万円をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕されるなど、刑事事件に発展することもある。
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